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MazQのデカい音とウマい飯【DTM】

オーディオオタクとDTMerを跨いでマニアックなことや、プラグインや製品のレビューを投稿していきます。 ちょっぴりグルメもありますw 専門知識豊富な情報屋らしい独自の内容を売りにしています。 サイト運営のため、一部アフィリエイトを使用しています。 よろしくお願いします。

ミックステクニック

【検証 前編】クリッパープラグイン徹底比較 StandardCLIP (SIR Audio Tools) vs. Saturate (Eventide Newfangled Audio) vs. SKYE Clipper (Signum Audio) and many more

6つのクリッピングプラグインを徹底比較【概要編】

どのClipperを使えばいいのか分からない、比較記事を出してくれ、などのお声を頂きました。
ということで、音をデカくする手段の一つとして知られるClipperを比較していきます。

今回比較するのはタイトルにある3種

に加えて下記3点も比較対象に加えます。

当記事は詳しい概要を説明しています。
実際の音とCPU使用率を比較している後編記事はこちら⇩




リミッターとクリッパーの違い

2wV9Heo8A9BQJ53TXPril6d
元の画像:https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTl5UXe9VYShiceoweH5BnArnyGXce4NjaU4A&usqp=CAU
  • リミッター Limiter

  • 設定されたスレッショルド(閾値)を超える音量を制御するために使用されます。リミッターは通常、音量がスレッショルドを超えないように信号を圧縮し、音量のピークを滑らかにすることで、信号のダイナミックレンジを保ちつつ、歪みを最小限に抑えます。

  • クリッパー Clipper

  • 設定されたスレッショルドを超える信号を切り落とすことで、ピークレベルを制御します。これにより、信号のピークが強制的に制限され、硬く歪んだサウンドを作り出すことがあります。クリッパーは、音量の増加やサチュレーション効果を付加するために使用されることが多いです。

各製品の解説

SIR Audio Tools StandardCLIP



詳細サイト
SIR Audio Tools StandardCLIP
サイト内一部サポートリンクを含みます。


この製品は大きく分けると下記の2通りの方法にて主に使います。
  • マスターバスにインサートして音量を稼ぐダイナミクスのツールとして
  • 信号に奇数倍音を加えるハーモニックジェネレーターとして
非リニア処理で、常に倍音が加わり、オーバーサンプリング無しではエイリアシングが発生します。
奇数倍音が増えるのは波形が矩形波に近づくことを考えると分かりやすいと思います。

他のクリッパープラグインも基本的な部分は同じ動作、使われ方をします。

位相に関しても通常通り、下記の2つを搭載しています。
  • レイテンシーがないミニマムフェーズモード
  • レイテンシーはあるが、位相変化はないリニアフェーズモード

そして、ここからがこのプラグインのスゴイところです。

これらのモードに加えてオーバーサンプリングの工程に用いるフィルターの質とカットオフ周波数を変更できます。

フィルターがここまでかなり細かく設定できるクリッパーは珍しいかもしれません。
設定方法 = Preference -> Oversampling Configuration
oversampling_options
オーバーサンプリングは脅威の256倍まで選べます。
リニアフェイズだと書き出し速度は最悪ですが、NOS(ノンオーバーサンプリング)との差は歴然です。
また、カーナルサイズ(フィルターカーブの角度)とカットオフ周波数でも音色を決められます。
下にレイテンシーの記載があるのがとても親切です。

ちなみに、フェイズの違いでフィルターカーブに下記のような違いが出るようです。
右がミニマムフェイズです。
×256でもCPU使用率がそこまで高くならないのでうまく使えれば相当なメリットを得られそうです。
screenshot.1064screenshot.1065

出音も比較しましたが、ほとんど聴感上で差は分からず、差分を書き出したらかなり微細な違いでした。
位置合わせに3ティック分、波形をずらしました。
※ずらさなくても差はわずかです。

差分音源用意しました。

リニアフェイズ



ミニマムフェイズ



差分




ナイキスト周波数と信号処理の順序

ナイキスト周波数を簡単に説明すると、サンプリングレートの半分、つまり1chあたりの上限周波数を指します。
そこを境に折り返しノイズ(エイリアシング)が生まれるので、プロセスの手前でオーバーサンプリングをする作りになっています。
これが実際の信号処理の順序を示した画像です。
clipping_function



周波数分布比較

オーバーサンプリングした理想の周波数分布と、オーバーサンプリングをしなかったときの周波数分布を比較してみましょう。
with_oversamplingwithout_oversampling

左がオーバーサンプリングをしたもので、右はオーバーサンプリングをしなかったものです。
サイン波の周辺に別の線が見えるのが分かると思います。
これがいわゆるエイリアシングノイズです。

音で聴くともっと分かりやすいです。
※サイン波のスイープです。音量に注意。



音源で比較するオーバーサンプリングの有無

ドラム音源で比較してみました。

ノンオーバーサンプリング(×1)



オーバーサンプリングあり(×256)



どちらも割れていますが、NOSは低域がふくよかで時間軸も伸びているように感じます。
対して、オーバーサンプリングありの方はあまり時間軸は変化せず高域の質感が生きているような印象があります。
必ずしもどちらが良い、というのはなく、好みや使用用途によって変えるのが良いと思います。



関数グラフ

対数表示とリニア表示を画面クリックで切り替えられます。
クリッパーだと左がほとんどですが、ディストーションは右の表記が多いですよね。
logarithmic function plotlinear function plot

参照サイト
https://www.siraudiotools.com/StandardCLIP_manual.php




Newfangled Audio (Eventide) Saturate



詳細サイト
Newfangled Audio (Eventide) Saturate
※サポートリンクを含みます。


クリッピングするしないの境界のような、トランジェントをスムーズにするかけ方をSoft Clippingと呼びます。
少しの倍音だけで歪まないメリットがありますが、音をあまり大きくできないデメリットもあります。
つまり、トレードオフの関係にあります。

非対称線形のクリッピングをオーバードライブと呼び、奇数倍音に加えて偶数倍音も増えます。
真空管のような響きを得られるといわれていますが、決して魔法のようなものではありません。

しかし、Saturateには細部保持アルゴリズムが搭載されています。


細部保持アルゴリズム (Detail Preservation Algorithm)

波形で比較できる資料があったので載せていきます。

まず、すべての信号は複数のサイン波で構成されているということが下記画像で分かります。
Sinewave

では、クリッピングしてみるとどうでしょう?
その波形の上下端がフラットになり、そこにある小さなサイン波が失われることが分かります。
Clipped

しかし、Saturateには賢いアルゴリズム (Detail Preservation Algorithm) によって小さい音をシーリングでバッサリカットせず、下記波形のようになるよう処理することができます。
Detail Preservation Algorithm

さて、キックドラムのアタックに対し、かけたものを比較してみましょう。
上がアルゴリズムを適用しなかった場合、下がアルゴリズムをONにした場合です。
OFF

ON

こちらも同様に上下の端あたりの波形処理に違いがみられます。

アルゴリズムの有無による音の違いを音でも比較してみましょう。
  • アルゴリズムあり



  • アルゴリズムなし

アルゴリズムなしはやや高域が尖っていて、時間軸も長くなっているように聞こえます。それに対して、アルゴリズムありを聞いてみると、尖った角が丸く、時間軸もなしに比べて変化が少ないように聞こえます。


参照サイト
https://www.newfangledaudio.com/post/saturate-1-7-0-preserving-detail-while-clipping




Signum Audio SKYE Clipper



詳細サイト
Signum Audio SKYE Clipper
※サポートリンクを含みます。


SKYE Clipperの概要

ミキシング、マスタリング、クリエイティブなサウンドデザインに使用できるクリッパーおよびサチュレーターです。
洗練された独自のリアルタイムアンチエイリアスアルゴリズムを利用したクリッピングタイプが7つ収録されています。
洗練された機能が豊富でありながら、シンプルなUIを特徴としています。


SKYE Clipperの使用用途


ピークを削り取り、ハーモニックサチュレーションで音のボディ感を与えることができるため、
トラックの知覚的なボリュームを増やし、豊かでパンチの効いている充実したサウンドを作るのに適しています。
また、楽器にザラザラ感やクランチ感を加えるサチュレーターとしても最適です。
主な使用のシチュエーションとしてはスネアの調整、バス処理、シンセサイザーへのテクスチャの追加などが挙げられます。
スケーリング機能付きの履歴ビューを使用して、これまでのオーディオ処理をチェックし、正確な作業を行うことにも適しています。


独自のリアルタイムアンチエイリアシングアルゴリズム

アンチエイリアシングSKYE Clipper
SKYE Clipperは不要なエイリアシングノイズを削除するアルゴリズムを搭載しています。
CPU使用率の増加が懸念されるオーバーサンプリングを使用しません。


パラメーターのオートメーション化

Automation‗SKYE Clipper
SKYE Clipperには、Pregain、Threshold、Clipping Type、Gain Link、Post Gain、Dry/Wetを制御できるコントロールパネルがあります。
DAWではすべてのパラメーターを完全にオートメーション化でき、Shiftキーを押しながらドラッグすることで微調整をすることもできます。

ちなみに、SKYE Clipperはサラウンド版も用意されています。


参照サイト
https://www.signumaudio.com/skye-clipper




Kazrog KClip3



詳細サイト
Kazrog KClip3
サイト内一部サポートリンクを含みます。


多機能なクリッピングプラグインで、音質の透明性も高いです。
また、個々のトラックに暖かさ、歪み、彩度を加えるのにも非常に便利です。
ポップ、ロック、ヒップホップ、EDM、サウンドデザインなどの分野でトップのプロデューサーやエンジニアに選ばれています。

マルチバンドなどの機能

multi-band
上記のようなマルチバンド処理(4バンド別のアルゴリズムも可)ができるのが大きな特徴です。
他にもミッドサイド処理、色をカスタマイズできる波形ビジュアライザー、エコモードなどの機能が内蔵されています。

試しにシングルバンドとマルチバンドを比較してみましょう。
  • シングルバンド



  • マルチバンド


マルチバンドだと各帯域ごとにクリッパーが反応するので、時間軸で短い高音と長い低音それぞれが歪みます。
それに対し、シングルバンドの全帯域まとめての時間軸で歪んでしまいます。
波形がサイン波に近く、大きい低音により反応してしまった結果このような音になると思います。
100Hz、1KHz、10KHzで分かれていますが、周波数は変えられるし、後に説明するアルゴリズムも変えられます。


クリッピングアルゴリズム

ディストーションに近い音も含め、下記8種類のクリッピングアルゴリズムが収録されており、様々なシチュエーションで使えるよう設計されています。
  • Smooth
  • Crisp
  • Tube
  • Tape
  • Germanium
  • Silicon
  • Broken Speaker
  • Guitar Amp

上位4つはマスタリング、他はトラックの音作りに使うのがセオリーでしょうか。
今回は上4つのみ比較します。



Schwabe Digital Gold Clip



詳細サイト
Schwabe Digital Gold Clip
サイト内一部サポートリンクを含みます。


今回比較する中では特殊な部類になります。
実機のDAコンバーターのモデリングで、その中にあるクリッパー部分を再現しているものになります。
他にもGold、などのこのプラグインならではの機能が詰まっています。
オーバーサンプリングについてはマニュアルに記載されています。
今回はクリッパー部分のみ比較します。

検証にあたり、トリムリンクを外したり、オーバーサンプリングの設定を変えたりしました。
パラレルで使用するためのリニアフェイズモード
パラレル処理が必要なくてローのトランジェントを良くしたいときのミニマムフェーズモードを選べます。

詳しくはこちらをご覧ください⇩




Pulsar Modular P44 Magnum



詳細サイト
Pulsar Modular P44 Magnum
サイト内一部サポートリンクを含みます。


P44 Magnumの概要

納得するクリッピングができるプラグインがなかったので自分たちで作ったという意欲作。
同社P42 Climaxの遺伝子を引き継ぐプラグインですが、SWEET、O2、クリッパーなど半分以上が完全新規開発ということのようです。
SWEETは高周波フィルター系のエフェクト、O2は音に息を吹き込むようなユニークな回路アルゴリズムで、OOMPHはサブベース帯域の力強い鼓動を、POOMPHはそれよりは少し上の低域にパンチを加えてくれるパラメーターです。
デュアルモノでLRを個別に処理することもできます。
今回はクリッパープラグインとしての比較のため、その他パラメーターについての詳細は割愛します。

こちらの記事をご覧ください。



P44 Magnumのオーバーサンプリングについて

img132

右下にあるOSマークがオーバーサンプリングを指します。
  • ビンテージimg143
  • DAWのサンプリングレートの2倍で動作します。
    高周波に滑らかなフィルターでクラシックなロールオフ特性を維持し、エイリアシング信号をフィルターせずに残すことができます。
    ビンテージの滑らかさとモダンな不調和な歪みが特徴です。
    44.1KHz/48KHzでの使用に最も有効です。

  • インテリジェントimg144
  • こちらもDAWのサンプリングレートの2倍で動作します。
    周波数スペクトルをスキャンし、エイリアシング信号を減衰させます。
    この処理の具合は他のパラメーターを含めたP44 Magnumによる効果の具合によります。

  • HDimg145
  • DAWのサンプリングレートが384KHzで動作します。
    INTELと同じようにスキャンフィルターを使用し、効率的なCPU負荷をしている点から、マスタリング、ミキシングの重要なパートに適しています。
    ※44.1KHz/48KHz→8倍、88.2KHz/96KHz→4倍、192KHz→2倍

P44 Magnumのクリッピングについて

img141

音質、左右の位相感などソース特性を他に比べて極めて高品質で保持するのが特徴です。
最大で-18dBFSに設定でき、GRはゲインリダクション量を表示します。
OUTでは-18 ~ 9dBまでクリッピングあとのレベル調整ができます。
CLIPはMIXの後、つまり最後に設定されているので、MIXノブをDryに振り切れば実質「単体クリッパー」として動作します。
CLIPセクションはOSボタンに関係なく常に4倍にオーバーサンプリングされます。

【追記】
screenshot.1075

v1.1になり、Soft Clip機能が追加されました。

詳細は後編レビューでも触れますが、当記事でも試しにKNEE0.0と8.5(最大値)の違いを聞いてみましょう。

  • KNEE 0.0(HARD CLIP)


  • KNEE8.5(SOFT CLIP)



実際に音声で比較

音の差が分かりやすいように合計18dBリダクションをかけて、3dB持ち上げてピークは-15dBになるように掛けています。
元素材、DAWのサンプリングレートは44.1KHzで、
あらかじめピークはDOTEC-AUDIO DeeMMaxで叩いてあります。
実験結果ではA.O.M.社のInvisible Limiter(無印)と並ぶ高品質なマキシマイザーです。

オーバーサンプリングはSKYE Clipperを除き、すべてP44 Magnumの4倍に揃えています。
SaturateはANTI-ALIASINGをONにしています。



CPU負荷を比較

こちらも後編でやっていきます!!





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MazQでした〜!


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【ミックス】音程・音階でカットできるEQの有用性とは?(Fabfilter Pro-Q3、DMG EQuilibriumなど)


音程で周波数を指定できるEQの有用性


久しぶりのDTM Tipsです。

コンデンサの聴き比べについての記事を載せる前にミックスマスタリング上達のノウハウの一つを載せようと思いました。

さて、今回は鍵盤付きのEQや、音程で周波数を指定できるEQの有用性を紹介します。

DMG EQuilibriumは鍵盤を出すことができますし、Fabfilter Pro-Q3も例えばA4などと入力するとその周波数にポイントが移動します。

また、最近出たPlugin Boutique Scaler EQでも細かく追及できます。
音階を指定しながら周波数を決めることができます。
こちらの製品も下記URLにてレビュー書いてます。
https://mazq-music.blog.jp/archives/PluginBoutique/ScalerEQ-HarmonicEQ.html

製品詳細はこちら⇨Plugin Boutique


今回の記事では上記のようなEQで基音をカットすることでどういった音質の変化が生まれるのかを紹介しようと思います。

最後にまとめを用意してますので、時間のない方は最後まで飛ばしてもOKです。


鋭いQで効くEQとは?

個人的にDMGは鋭く効くのでQが狭いとFabfilterよりバッサリいったように感じます。
単体で比較したときはFabfilterしか違いを認知できなかったので、おそらく位相の都合ではないかと想像しています。
現状SonnoxのClaroが最もシャープにかかるEQだと思います。

参考記事




MazQのEQの使い分け

各トラックのミックス自体は音色の美味しい部分を引き立たせるためにEQuickで積極的に調整しますが、バスではFabfilterを使うことが多いです。
もちろん、付属のEQも十分です。

たとえば、StudioOne付属のEQはブーストはあまり好みではないのですが、カットは位相もかなり変化して好みだったりもします。

EQの音色差は後段のエフェクトで分かりやすくなります
私はEQとディストーションを派手にかけるハードスタイルキックや、リードの処理もするので把握しやすかったです。


キーワードは"基音"

実は位相の話は今回メインではなく、倍音、もっと言うと今回のキーワードは"基音"です。

詳しくは読み進めていただくと詳しく分かると思います。
音数による位相かぶり、滲みが影響しています。

一般的な認識として
ピークを削るときはQを絞ってブーストして耳につく部分をカットする
というやり方がありますよね。

そちら参考記事を用意しています。

参考記事




プロが使うEQテクニックだった?!

しかし、プロが使うEQテクニックの中に書いてないやり方がまだありました。
音程で周波数を指定してカットする方法です。
以前このようなツイートをしました。


実はこの基音をカットする行為が非常に大切だ、と気付きました。
基音を探すにはやはり音程で指定できるEQのほうが早くて楽です。
ネットで調べれば出てくるので、その数値を入力してももちろんOKです。

しかし、他の音程のほうが良いと感じた場合に素早く聴き比べができるのは音程で周波数が指定できるEQですよね。

どうして基音をカットするのでしょうか?
それは音が集中しやすいからです。
低音がブーミーであることをMuddy Bassと英語圏の方はいいますが、まさにそれが他の帯域でも起こっているのです。


簡単な音楽理論のお話

トニック、サブドミナント、ドミナントというよく使う音階があり、その中で最も使うのがトニックになります。

通常ド(C)で話すのですが、チューニングがA=440Hzが主流であるように倍音の話をするときはAのほうが楽なので、ラ(A3)で進めます。

最も音を重ねて違和感がないのがオクターブA4A2、次にドミナント(完全5度、ミ)の音になります。

音楽理論についてはこちらから⇩



この辺がうるさいなーと思ったとき上記のような基礎的な音楽理論から探ると良いと思います。
音を重ねて違和感がないから重ねやすいのです。

周波数を探す手間はプロならかなり痛手となります。そこで倍音やそれら音楽理論を基準にカットブーストを決められると作業が早くなるのではないか、とも思います。
ミックスにおいてはザックリしていていい部分もあるとは思いますが、マスタリングは非常にシビアで違いも僅かなため、迷ってしまいます。

例えば、広がりがあるけど低音は締まっててほしいとなったら
200Hz-250Hzらへんではなく、220Hz(A2)を基準にして少しブースト、110Hz(A1)を少しカットするなど、ある程度見立てを用意することができるのは大きいと思います。


ここで疑問に思った方は鋭い!


★音楽理論で遠い音階をカットするべきか

音楽理論的に遠いとされている音階をカットしたらどうなるのか?
これはカットすると逆に音楽的に気持ちよくないと感じました。
音が集中していない、音色を決める倍音があるポイントであるのがその理由かと思います。

例えば、Serumでスーパーソウを作ってみると分かりやすいです。
普通に鳴らしたときと、波形の編集画面からRemove Fundamentalを選択して、Sub OSCでサイン波を別で鳴らしたときの音の違いを体感するとよく理解できると思います。

位相がズレた、滲んだ音が1本の波形で鳴ってくれるので低音が綺麗になります。
音がたくさん集まっているところにはこの滲みが起きていますが、音楽理論的に遠い音階にはそれがあまり起きていないのです。

スーパーソウの音作りについてはこちら⇩


証拠の音源は?と言われると用意するのが大変なので今回は割愛させていただきます。


まとめ

音が密集すると様々な波形が重なって位相の乱れから滲みのようなものを感じるからです。
この位相の乱れは定位、音像、空間表現に大きく影響します。

キーワードになっている基音は音楽理論で言うとトニックというよく使われる音階です。
つまり、音が密集しています。

密集している音をカットするとすっきり、逆にあまり音数がない部分は物足りなかったりします。
楽器には倍音があり、ブーストすると影響があるので良い結果をもたらすように感じます。


\音楽理論に基づき扱える唯一無二のEQが出ました/

Scaler EQ

ScalerEQ-Master_Dynamic_Musicality_FINAL-PluginBoutique


Plugin Boutiqueでは毎月お得な購入特典がもらえます。
$1以上支払うと特典を追加することができるので必ずもらっておきましょう!!
最近は3製品から選べたり、特典が豪華になっているので1製品ごとに購入するのがオススメです。

Plugin Boutique

『Choose your free gift』
screenshot.923




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20220124_190518

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MazQでした〜!



次回もお楽しみに!

【MIXの基本】アナログコンプレッサーの使い分け(VCA, FET, 真空管, 光学式Opto)(SSL、Vertigo VSC-2、1176、Fairchild670、LA-2Aなど)VSTプラグイン

コンプレッサーの基本的な使い方に続いて、今回はアナログモデリングコンプの使い分けを説明します!

DMG Audio TrackComp
DAW(StudioOne)純正コンプレッサー
たぶん日本で5番目くらいには分かりやすいと思います笑

コンプを中心にアナログモデリングが揃うWavesのバンドル、 Horizonはオススメです!
関連記事⇩

また、DAWのLogic、Native Instruments KOMPLETEにも一通り入っています。

Plugin Allianceにも色々あります。

さて、VCA FET 真空管 Optoと大きく分けて4種類のコンプがあるわけですが、一体どのタイプがどのコンプなのか、使い分け方は?解説していきます。


VCA
api-2500

Voltage Controlled Amplifierの略で電圧制御アンプということになります。
特徴
電気信号の処理でコンプがかかるため、クリーンでレスポンスが良いのが特徴です。
注意点
あまりスレッショルドを低くしたり、アタックを短くして過度にコンプをかけるといかにも潰れた感じの音になります。
使用例
ドラムにパラレルコンプとして潰れた音をミックスしたり、バスコンプとしてバス・トラックにかけたりします。

例:dbx160、API2500、Vertigo VSC-2、SSLシリーズなど

Plugin Allianceから出てるVSC-2をよく使っています。
vertigo-vsc2-4xScreenshot-action-transparent_V1-829803e0

クリーンでカッチリとかかりますが、ゲイン設定次第では倍音が加わり太くなるのでキックによく使っています。


FET
3

Field-effect transistorの略で電界効果トランジスタと日本語では言います。
電圧入力により発生させた電流を制御するトランジスタ回路のコンプです。
特徴
VCAよりもしっかりアタックに反応します。
信号の振れ幅と入力ゲインでコンプのかかり方が変わります。また、独特なサウンドを加えてくれます。
注意点
こちらもVCAと一緒でかけすぎには注意が必要です。
使用例
ギター、ベース、ドラムなどの音にかけたり、リミッターとして使ったり、パラレルコンプしたり。

例:Urei 1176系、Waves CLA-76、Pulsar 1178
76ってついているものはコレです。

私自身、FETコンプはあまり使わないのですが、使うときはBlack Rooster AudioのVLA-FETを使います。
7AA12B24-2E30-4789-8A28-11D78D0905CF-768x768

パンチ感と明るさが加わり、扱いやすいです。
音のキャラクターをいじるというよりは音をタイトにまとめるのに向いていると思います。
各社から様々なものが出ていて実機にはない質感を持っているものも多いので、聴き比べてみると良いと思います!

以前
「セールやる前に事前にメーカーの音質傾向も把握しておくと良い」
ということを述べましたが、76系コンプは特に分かりやすいですよ!
また、Black Rooster Audioはセール価格がもったいないくらい優秀です。



真空管
5
特徴
真空管回路ならではのなめらかなコンプ感と温かみが特徴です。
注意点
トランジェント処理には向いていないということ
使用例
パラレルコンプやマスターバスでの味付け用コンプとして

例:Fairchild670、MANLEY Variable-Mu Compressor

WavesのPuigchildを使っています。
LAT/VERTがMSモードを指していて、それを使いながら独特な質感を加えることがあります。


Opto(光学式)
4
オプトコンプは入力信号を光に変換してその光をセンサーで読み取り、制御します。
圧縮比率は固定で3:1が主流のようです。
特徴
滑らかかつ透明感がある音です。
LA-2Aはアンプの回路が真空管で、LA-3Aはトランジスタ回路です。
コンプの検出する回路ではなく、アンプの回路なので真空管コンプとは違います。
LA-2Aの方が真空管ならではの馴染みの良い音で3Aはどちらかというと立たせたい音に使えると思います。
注意点
トランジェントやコンプ感を求めるには向かず、また過度なコンプも向かないこと
使用例
ボーカルには必ずと言っていいほどかけます。
トランジェントは仕組み上ざっくりしているので、どちらかというとキャラクターを整えるという使い方が良いと思います。

例:teletronix LA-2A、Waves CLA-2A、CLA-3A

私はWavesのCLAコンプを所有していないのもありますが、やはりBlack Rooster Audio VLA-2Aをよく使います。
VLA-2A02
BRAはWavesよりもクリアな効き方をするのでトランジスタの3Aはなかなか使い道がなかったりするのですが、この2Aはめちゃくちゃ使えます!




まとめ
コンプレッサーに関する記事は多くありますが、仕組みについてはザックリとしか理解していなかったので自分の勉強のためにまとめてみました。
とはいえ、私の普段の使い方やその他情報もあるので役に立ってたら良いなぁ、と思います。


以上MazQでした〜〜!

門外不出のEQテクニック?!エンジニア秘伝のピークカット3選【ミックス】

以前、DTMStationの記事で、Dragon Ashなどのエンジニアリングを勤める飛澤正人さんがEQテクニックを公表していました。
中には参考にするとかえって遠回りをしてしまうような参考書もある中、無料で我々に有益な情報を提供してくださり、ありがとうございました。

記事を参考にして試したところ、文面通り明確に効果がありました。
しかし、適用するにあたって副作用もあることも感じました。

そう、音の定位感が下がってしまったのです。
私はエレキギターはソロパートでない限り厚みを出す役割を担った方が好ましいと考えていますが、カットの具合によっては音の実体感も減ってしまうような気がしました。

この実践をきっかけにピークカットについてさらに研究するようになりました。
その結果が「デカい音とウマい飯」の当記事に繋がりました。

ということで、今回も深堀りしていけたらと思います!


目次
使用するEQプラグインについて
ピークカットする帯域の見つけ方
テクニック1ー耳障りな帯域のカットとブースト
テクニック2ー音圧を上げるためのピークカット
テクニック3ー気になる周辺の帯域をカットブースト
まとめ


使用するEQプラグインについて
Uplifting Kick EQ
ピークカットに関してはQを細くする場合が多く、ソリッドに効くものが良いと考えます。
その分、音痩せ感もしっかり出てきてしまうので、2-3db以上のカットには向きませんが…

DMGやSonnoxの効き方がわかりやすくていいかな、と思います。

OzoneやFabfilterなどのEQはソリッドというわけではないので、バス・トラックなどに使うのがオススメです。
そもそもがマスタリングEQですからね。

また、緩いQの場合はDMGはスッキリすぎる印象がありますので、使い分けに注意です。


ピークカットの嫌な帯域の見つけ方
(後日画像を載せます)
これは結構色んな所で紹介されていますが、Qを絞り、20dbとか持ち上げて嫌に聞こえるところを探し出します。

具体例⇩
シンセの場合、オクターブ上で鳴らすと2KHz-7KHz台が嫌な帯域が出やすかったです。
エレキギターは2KHz-5.5KHzあたりが耳に付きました。(歪ませた場合)

ある程度探し出せたら一番嫌なところからどのくらいの範囲まで嫌なのかざっくり確かめます。

そこからGainを下げますが、個別トラックの場合-6dbくらいまで、バスの場合-2dbくらいまでが目安です。

6dbカットするということは、その帯域の音量が半分になってしまうということなのです。
以前コンプの解説で書いたRatio2:1と同じように恐ろしいことです。

Q幅を調整するのですが、GUIに関して気をつけなければならない部分が出てきます。

以下2点を考慮してゲインを下げましょう。

・ピークを探すときに上下幅が大きいと実際のQ幅より緩く見えてしまうこと
・近い帯域にピークがあったときに、Qが緩いと重なって見えてしまうこと

あまり深く気にしなくても良いですが、ピークカットの場合は複数のEQが被らないほうが良いように思えます。
以前の記事でマルチバンドコンプについて触れたときも同じようなことを解説しています。
参考までにどうぞ。


テクニック1ー耳障りな帯域のカットとブースト
screenshot.331
これはハードスタイルのリードのバス・トラックにかけたEQの例です。画像はFabfilter Pro-Q3。

ノイズでノコギリ波をFMかけたり、LFOでピッチを揺らしたりすると、歪ませなくてもピークができてしまいます。
こういう音を重ねて作るジャンルなので、このテクニックは非常に重宝しました。

持ち上げると美味しい帯域ほど、人の耳には敏感に聞こえるのでここの処理が極めて重要になります。

後日談ですが、Pro-Q3を使って高域をブーストしたら一つだけアタック感が秀でていたので、カットをするとアタックが他のEQより削れてくれるのかもしれません。

2-7KHzあたりまでのピークを狭いQでカットすると、美味しい帯域が目立たなくなり、ハイ上がりな音になりました。
そうするとせっかく聴かせたい音が奥まってよくわからないミックスになってしまいます。

そこで緩やかなQでカットした周辺帯域をブーストするのです。
screenshot.332
こうすることで嫌な音が控えめになり、耳あたりの良いシルキーな音で、かつ、美味しいところを聴かせることができます。
試しに、オンオフ聴き比べましたが、後戻りできません。

ブーストに関しては別のEQを使うのもおすすめです。
ハードスタイルリードではよくSoundtoys Sie-Qをつかっています。


テクニック2ー音圧を上げるためのピークカット
screenshot.330
写真はDMG EQuibrilliumです。
マスタリングに主に使います。
こちらのEQは結局インサートしても使わなかったので参考にしないでほしいのですが…
鍵盤があるのが特徴です!

音圧を上げるためには曲のキーである音階、曲のキーから外れた音階を意識して処理していきます。

というのも、マスタリングでは様々なプラグイン、アウトボードを駆使し、倍音をコントロールしていくからです。

和音を作るときは基本的にダイアトニックスケールの音階が使われるため、よく使われる音階には音が集中しがちです。

音が集中している音階に倍音を足すとそこが飽和します。飽和するというのは音の隙間がなくなるということで、音圧が上がりにくくなります。

カットすると音が細く聞こえてしまうこともあるので、必ずしも正しいというわけではありません。
あえてピークブーストをするのもテクニックです。
アタック感、定位感が目立つようになります。

ただし、どの段にEQをインサートするかにもよるでしょう。

ちなみに、Fabfilterは周波数のところに音階を入力すると周波数を音階に合わせてくれるので、曲のキーで選択していきましょう。
音数が多い曲のマスタリングでは曲中によく使われる音階はカットすると自然にスッキリさせることができます。


テクニック3ー気になる周辺の帯域をカットブースト
screenshot.333
あまり意識して使うことがない人もいると思います。私自身も信用頻度は高くない手法です。

目立たせたい、目立たせたくないところの周辺帯域のGainを上下することでより効果を強調することができます。
ミックスにおいて音のキャラクターを変えたいときに使うと良いでしょう。
また、かぶりやすい音色と反比例するかけ方をするのがオススメです。(例:ギターとボーカルなど)
被りが減り、役割分担しやすくなります。

ピークカットではないですが、上げた帯域と比例してそれより少し低い帯域でゲインが下がるカーブ、
下げた帯域に比例してそれより少し高い帯域でゲインが上がるカーブがビンテージEQには多いように思います。

このビンテージEQにヒントを得たテクニックがこの手法です。


まとめ
ピークカットした分、緩く持ち上げることで耳障りでないシルキーな美味しい音色を作り出すことができます。
曲中でよく使われる音階など、音階を意識してEQをかけることで飽和を避け、より音圧を稼ぎやすくなることがあります。
周辺帯域に反比例のゲイン操作を行うことで効果を強調することができたり、音が被りやすい音色同士で役割分担ができたりします。


私自身、マスタリングに関してはまだ研究の初歩段階だと思っていますが、参考になれば幸いです。


プラグインレビューはこちらから⇩



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以上
MazQでした〜!



次回もお楽しみに!

【実践!】ボーカルをオケに馴染ませるテクニック7選【ミックス】


昨日の続きになります。
途中まで内容一緒なので読み飛ばして構いません。


先日私の大好きなI've Soundの名曲からボーカルを抽出し、2人の歌声を1曲にまとめてみました。
公にアップロードはできませんが、非常に得ることが多かったです。
今回やったことで得た情報を2回に分けて紹介したいと思います。
1回目はオケとボーカルのバランスを取るのにはどうするか、ということにフォーカスしてお送りいたします。

楽曲紹介
まず、私がミックスの参考にした存在の一つでもあるI've Sound
知らない方の為に軽く紹介します。
札幌を拠点に活動する音楽制作集団で、作編曲はもちろん、歌手の発掘プロデュース、ミックス、マスタリングまで一連の流れ(完パケまで)を20年以上前から自らでやっていました。
美少女ゲームからアニソンを中心に楽曲制作をしています。
川田まみ、KOTOKOという名前は多くの方に知られていると思います。

実はサウンドトラックも作っていたこともあります。
とあるシリーズのサウンドトラックが有名です。
この曲を書いた井内舞子さんもかつてI'veの一人でした。


I'veメンバーのうち、2人記事に書いてますので御覧ください。



当時は彼らのように自らで完パケする人たちは少なかったですが、打ち込み、DTMというものが誕生した現代では一人で完パケすることに比較的敷居が低くなりました。
そのため、曲はいいのに音が潰れているなんてことが増えてしまっています。

そんな時代だからこそ気をつけるべきことを今回は述べていきたいと思います。

今回はボーカルトラックとインストルメントトラック(以下インスト)のバランスについてフォーカスしつつ、ミックスで心がけると良いこともしっかり深堀りしていこうと思います。

目指すはマキシマイザーに頼らないでデカい音!!




ここまでは内容同じ!ここからが本題!!


ボーカルをオケに馴染ませるテクニック7選

1.Aメロ、Bメロ、サビなどのパートごとに音量を整える
ミックスの基本はまずフェーダーワーク、こと音量の調整から始まります。
楽曲の盛り上がり具合に合わせてボーカルの聞こえ具合は大きく変わります。(音数、位相の関係)
そのため、まずは0.5db単位で各パートを調整しましょう。
多くの場合、曲中には転調があり、楽曲の音数が変化することからこの各パートごとに調整するのは基本的な心がけとして必要です。


2.楽曲のトーンに合わせて高域を調整する。
声質によっては高域がピーキーだったりします。そういう場合は容赦なくEQで高域を削ったり、逆に抜けてこなければ持ち上げていいと思います。
screenshot.319

声を張る時に音量が大きく、鋭く聞こえるなんてこともあるため、マルチバンドコンプで高域だけコンプレッサーをかけるというのもありだと思います。
ディエッサーというものがソレに近い動作をしますが、複数箇所絞ってかけることもできるマルチバンドコンプを私はおすすめします。
(ちなみにディエッサーは耳につくEssサウンドを減らす効果から名付けられました。)
screenshot.320

また、余談ですが、マルチバンドを隣り合わせで使うと2重でコンプレッサーがかかるので音が濁ってしまいます。その場合はこのように使いましょう。
コンプと反対に動作するエキスパンダーで低い音域を持ち上げるのも一つのテクニックです。
screenshot.321


3.パラレルコンプを活用する

パラレルというのは並列という意味で、原音にコンプで圧縮された音を混ぜるという意味で使われています。ちなみに和製英語ですw
私は抜けの悪く聞こえた声にはこのような設定でOTTをかましています。
このコンプはDepthがMIXと同じ役割のパラメータになっています。
多くの方が驚くかもしれませんが、よく馴染みます。
OTTに限らず音の輪郭を整えるにはパラレルコンプは大事です。
screenshot.322


4.サチュレーターを使う。
音に倍音を加えて目立たせる効果を発揮します。
私はSonnox Oxford Inflatorを愛用しています。

使い方はまずEFFECTを100%にしてCURVEで声のトーンをコントロールします。
もともと目立つところをさらに伸ばす、足りないところを補完して馴染ませるポイントをそれぞれ適材適所で使い分けるとメリハリが出ます。
後ほど解説するリバーブのところでもサチュレーターは使うので、原音と使い分けるのが良いと思います。
最後にEFFECTを絞っていき、好みのところで固定すればOKです。
screenshot.323


5.残響を入れる
リバーブをかけることで反響により音がにごり、ボーカルが馴染みます。
ディレイで左右から音が返ってくるのも広がり感が出て良いです。

センドを活用して原音と残響のトラックを分けましょう。
StudioOneはミキサー画面で右クリック、FXトラックを追加、ボーカルトラックのセンド、+からFXトラックに指定してあげればOKです。バーが黄色になるようにするとボリュームフェーダーに関係なく同じ音量でFXトラックに信号が送られます。

リバーブの残響はきれいなものから、モジュレーションがかかった濃い音まであります。音数に合わせて選びましょう。
リバーブも設定変えたものを複数に分けたり(パラレル)、各パートで設定を変えるなど凝ると非常にボーカルの質感が豊かに聞こえます。

設定に関しては
ディレイ、リバーブともにPreDelay(リバーブのみ)、Decay Time(減衰時間)とStereo Width(ステレオ幅)が特に重要です。
減衰時間が短いと輪郭が適度ににごり、曲に馴染みます。長いと空間の広さに影響が出ます。
PreDelayは複数リバーブをかけた時は特に音がかぶらないように設定します。
StereoWidthは同じ場所にリバーブが重なるとそこが濁ってしまうので分けれるように設定します。

あくまでテキトーに作ったステレオイメージの例なので、まったくもって正しくはないのですが、
このように残響が程々にかぶるのは良いのですが全てかぶってしまうとただうるさいだけになってしまうので注意が必要です。狙ってやるのは良いですけど。
ミックス ステレオ
また、EQで余韻の質感をコントロールすることも効果的です。(基本的には高域だけでOK)
これだけでは馴染み足りないかもしれません。
4のサチュレーターを設定違いでここでも使います。
また、パラレルコンプもするとさらに音が馴染みます。
u-heのPresswerkがいい仕事をしてくれます。


言い忘れました!
リバーブをかけたものはしっかりローカット、ローシェルフをしたほうが良いです。
なぜなら音が複雑になっていて、濁りに繋がってしまうからです。


5.5.パンニングをする
ボーカルの原音は多くの場合、モノラルです。
しかし、ベース、キックもモノラルに近い物が多く、基本的には真ん中に定位しています。
そのため、わずかに左右にずらすことで音の衝突を避けることができます。
普段ならDOTEC-AUDIOのDeePanpotを勧めたいところですが、モノラルには適用できないので、原音とセンドリバーブで分ける場合は使えません。
そのため、Panpotを使う場合はバス・トラックにまとめて、そこで使うと良いでしょう。
複数ボーカルがある場合は必要ですが、1人の場合はしなくても構いません。



6.要所の細かいフェーダーワーク
StudioOneにはMixToolというユーティリティプラグインが入ってます。
このようにオートメーションを活用し、目立ちすぎるところは抑えて、必要なところは持ち上げます。
MixToolを使うとエフェクトチェインの好きなタイミングでボリューム調整ができますが、
私は基本的に一番最初の段に挿します。そのためStudioOneのバージョンが5以降であればMixToolなしでも直接波形編集ができます。
screenshot.324


7.仕上げのモデリングコンプ
このようにインサートしました。
Limitlessはサチュレーション、EQでローカット、LA2Aで輪郭を整えました。
Edelweiss72のEQは優秀なのでオケで引いたらボーカルに足す、あるいはその反対の調整をする形でバランスを取りました。
screenshot.325

Black Rooster AudioのVLA-2A(LA-2Aという真空管オプトコンプのモデリング)を軽くかけることでより一層馴染みます。アタックリリースタイムが扱いやすい長さなんですよ~
Wavesのも評判高いですし、良いと思います。ただ、多くのビンテージ系はアタックリリースタイムのツマミが通常とは逆に動作するので注意が必要です。
screenshot.326

リダクションとゲインのツマミが個別操作で音量調整をするのが大変な人は
前後にこのプラグイン(19ドル)を挟んでみると勝手に調整してくれて便利らしいです。


ちなみにこのBlack Rooster Audio(BRA)は以前のBFセールに関する記事でも
「セール価格は非常に安いのに音が優秀」ということを書いています。クリアな音質でオススメ!


また、LA-2Aの後継機種であるLA-3Aはアンプの回路にトランジスタを使っていることから音質がソリッド、とも言われています。それらを2段がけしたり、その他FETタイプの1176や1178などをパラレルして仕上げるのも良いと思います。


後述
今回はボーカルに焦点を当てましたが、普段曲を作る時に考えていることにも当てはまることが多々あったかな、と思います。
また機会があればインストルメント、オケの作成時の心がけについても解説していこうかな、とも思っております。どうぞよろしくお願いします。






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MazQ 音楽未経験のオーディオオタクからDTMerに転生。ブログ「デカい音とウマい飯」を発信中⚡ エンジニア的角度からいつも音を探求しています。Bootleg/Remix/Mix/StemMastering Contact⇨mazq.music@gmail.com
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